厚生労働省から、歯科用ハンドピースの滅菌を促す通知が相次いで発行されています。しかし、その対応に困っている歯科医院がたくさんあるのではないでしょうか。
今求められていることに対して、何が問題なのかを整理し、これから進むべき改善方法について考えていきたいと思います。
歯科用ハンドピースには滅菌が必要
歯科用ハンドピースの滅菌は、2003年「歯科診療における感染管理のCDCガイドライン」で必要性が提唱されています。
日本においては、厚生労働省が省令や指針、通知などで、歯科用ハンドピースの滅菌を強く求めて指導しているところです。
「やらないよりは、やった方がよい」という認識では、なかなか実行できないのではないでしょうか。
まずは、歯科用ハンドピースの滅菌が必要だということを理解・納得することが、スタートラインになります。
歯科用ハンドピースの滅菌―5つの問題
歯科用ハンドピースの滅菌については、国民の関心が高いにもかかわらず、明確な指針が示されていないのが現状です。
「滅菌せよ」と言われても、「じゃあどうしたらいいの?」と悩みます。
そこで、解決すべき問題を整理してみました。
1.必要なハンドピースの本数
歯科に特化した感染管理の書籍には、厚生労働省が「ハンドピースの所有数は、歯科ユニットの2倍以上であるかを確認する」という通達を出していると書かれています。
私の読み方が悪いのか、通達の中でなかなかそういう文言を見つけることができませんでした。
参考文献として示されている当該通知を読んでも、探せないのです。(ごめんなさい)
必要な本数を決めるには、歯科医院の歯科用ユニット台数と実際に診療を行う患者数が必要です。
- 歯科ユニット1台あたりの1日の回転数(患者数)
- 洗浄・滅菌に要する時間
- 洗浄・滅菌器の処理能力
このようなデータを勘案して、必要な数を算出することになるのではないでしょうか。
最低限の「歯科ユニットの2倍」という数で、多いのか足りるのかということについてはどうでしょう。
矯正治療が専門ならば、そこまでの本数は不要かもしれません。
保存・補綴治療がメインならば、逆にそれで足りるのかどうか。
歯科医院ごとに条件が異なるので、必要なハンドピースの数は個別に検討が必要です。
2.高圧蒸気滅菌器の性能
滅菌器なら、何を使っても滅菌されるのでしょうか。歯科用滅菌器の特徴についてみてみましょう。
①医療機器の管理区分
医療用の高圧蒸気滅菌器は「クラスⅡ:特定保守管理器機」に分類され、QMS省令による管理に該当します。
取り扱い説明書や添付文書に明記されているかを確認しましょう。
- 認証番号
- 保守管理区分:クラスⅡ 管理医療機器/特定保守管理医療器機
- 類別:器03 医療用消毒器
- 分類:診療施設用器械装置
- 一般名称:小型包装品用高圧蒸気滅菌器
「医療用小型高圧蒸気滅菌器の認証基準」 *保護されていない通信です
http://www.std.pmda.go.jp/scripts/stdDB/kijyun/stdDB_kijyun_resr.cgi?Sig=1&kjn_betsunum=3;kjn_no_parm=108;kjn=ninsyou&ID=1300108
②圧力容器
滅菌器の規模によって、3つの圧力容器に区分されています。
- 第一種圧力容器
- 第二種圧力容器
- 小型圧力容器
- 規格外の容器
大きな病院等では 第1圧力容器を使用しており、ボイラー技士等の有資格者と作業主任者を選任し表示しなければなりません。
性能検査の有効期間は1年間なので、毎年性能検査を行い労働基準監督署に届け出の義務があります。
規格外であっても、年に1回のメーカーによる点検と日常の自主点検が推奨されています。
日本工業規格では、医療用高圧蒸気滅菌器は小型圧力容器を除く第一種圧力容器とされており、「ウォッシャステリライザを含むバイオハザード対応の滅菌器、その他の滅菌器は除く」となっています。
③空気排除方法
高圧蒸気滅菌器のチャンバー(缶体)内部に飽和蒸気を満たす方法には、次の3種類あります。
- 真空脱気式高圧蒸気滅菌器(真空ポンプで3回脱気する)
- パルス式高圧蒸気滅菌器(飽和蒸気を陽圧で強制的に注入する)
- 重力置換式高圧蒸気滅菌器(蒸気の重さで自然に空気を抜く)
歯科用ハンドピースは複雑な内腔(中空)を有する器具とされており、滅菌するには真空脱気式の高圧蒸気滅菌器が必要です。
重力置換式では、ハンドピース内に十分飽和蒸気が浸透しません。外側は滅菌されても、内部の滅菌は達成されない可能性があります。
日本国内で医療機器の「承認」「認証」を取得している滅菌器を選びますが、 歯科ではEN規格によるクラス分類が一般的でクラスBが該当します。
しかし、「世界最高水準のクラスB準拠」とカタログ等に書かれていても、実際にはEN規格の申請を行なわず独自の「社内検証」だけの滅菌器があるので、注意が必要です。
認証マークや番号等を必ず確認しましょう。
なお、パルス式は「真空脱気式」に含むとされていますが、「真空パルス式」と「加圧(陽圧)パルス式」とがあり、同じ「パルス」という言葉を使っていても「真空工程」の有無で性能が大きく違っています。
更に「パルス真空」を使った時短プログラムは「クラスBではなくクラスSに該当する」という説明があります。
このように、用語の定義が統一されていないことも、現場が混乱する大きな要因になっています。
④包装・非包装
一般歯科診療の範囲内であれば「非包装」のみの滅菌器でも使用可能と考えられます。
しかし、「手術」や「観血的処置」「観血的処置に準ずる治療」「体内埋入」に使用する器具や材料等は「包装」が必要です。
抜歯や歯髄抜去、歯肉縁下のスケーリングなどを行う場合も、「包装」した滅菌器具を使います。
⑤バリデーションできる機能
滅菌器の「温度」「時間」「圧力」などを経時的に測定できるセンサーと計器類、運転記録の機能が必要です。
バリデーションは、それらのセンサーの測定値と、データロガーなどの較正された測定器具を使ってチャンバー(缶体)の内部環境を実測した値をチェックします。
誤差が許容範囲を超えた場合には、較正を行います。
PCDやインジケータを使用することができて、専用または市販の製品を使える機能やテストプログラムが必要です。
それらがなければ、滅菌の保証はできません。
⑥乾燥工程の有無
歯科用の小型高圧蒸気滅菌器は、乾燥工程のない機種があります。
滅菌器の内部で滅菌が行われても、チャンバー(缶体)内部が完全に乾燥した状態で扉を開けなければ、濡れた状態で開放した時点で滅菌物は汚染されてしまいます。
空気中の微生物が水分を得て爆発的に増殖するので、無菌の器具ではなくなってしまうのです。
チャンバー内で滅菌が達成されたとしても、その無菌状態を確実に保持できなければ、取り出した器具を「滅菌物」として使用することはできません。
滅菌物を取り出した時に包装が濡れている場合も、それは「滅菌物」とはいえません。
医療用の滅菌器には、滅菌した器具の無菌状態を保ちながら保管できる性能(包装・乾燥)が不可欠です。
⑦乾燥工程の温度制御
歯科用の小型滅菌器には、乾燥工程があっても、温度制御ができず高温になってしまう機種があります。
滅菌温度を超える高温で乾燥工程が行われる機種では、現実的には乾燥工程を使えません。
一般的な器具は、滅菌温度までは製品の保証をしています。
それ以上の高温では器具の劣化や破損の危険性が高まるため、高温での乾燥工程の使用を禁止するメーカーがほとんどでしょう。
そのため、歯科器材の添付文書には「乾燥工程は使用しないでください」と書かれているものが多数あります。
しかし、乾燥工程をパスすれば「滅菌物」は完成しません。実に無謀な注意書きです。
なぜ、乾燥工程の温度に対する注意喚起をきちんと説明しないのでしょうか?
せっかく適温で乾燥できる滅菌器があっても、この添付文書の記述を見て、わざわざ滅菌工程をパスし、手術器具を滅菌したつもりで汚染器具を手術に使っている歯科医院は、いったいどれくらいあるのでしょう。
「乾燥工程は使わないでください」と書かれていても、滅菌器の乾燥工程が100℃以下で行われるなら、添付文書を無視して乾燥させるべきです。
厚生労働省は、「メーカーの添付文書に従う」ことを原則としています。
だから、メーカーの指示に従って乾燥工程をパスし「汚染された無菌ではない器具」を手術に使用しますか?
私は、メーカーの間違った指示には従いません。*文末の「コラム」参照
患者さんの命と安全を守るためには、そのような判断ができる正しい知識が必要です。
そして、歯科のメーカーにも、洗浄と滅菌に関する正しい知識を持ってもらいたいと切に願っています。
3.滅菌バリデーション
厚生労働省から「滅菌バリデーション基準」が発行されています。
これは、QMS省令に基づく「品質管理システム」による医療施設の組織的な運用をコンパクトにまとめたものになっています。
「滅菌バリデーション基準」の中に、「バリデーション」という言葉が書かれています。
この2つのバリデーションの定義や意味付けが微妙に違っているので、なんとなくわかったようなわからないような曖昧な感じがします。
バリデーションという言葉自体は、検証して証拠を保管するということです。
「バリデーション」に「滅菌器の」という注釈をつけてみると、ぐっとわかりやすくなりませんか?
医療機器学会のガイドラインでも、「バリデーション」は滅菌器の「較正とIQ、OQ、PQ」だとしています。
- 「滅菌バリデーション基準」は、「品質管理マネジメント(QMS)」の滅菌にかかわる組織全体の運用基準
- 「(滅菌器の)バリデーション」は、QMSの要素(要求事項)のひとつであり滅菌器の性能を証明し有効性を維持すること
このように理解すると、わかりやすいと思います。
つまり、「(滅菌器の)バリデーション」をやっただけでは、「滅菌」の品質保証にはなっていないということです。
*IQ:据付適格性評価(確認)Installation Qualification
付帯設備に正しく接続されていること
*OQ:運転適格性評価(確認)Operational Qualification
負荷(被滅菌物)のない状態で正確に作動していること
*PQ:稼働性能適格性評価(確認)Performance Qualification
日常の滅菌作業で滅菌が達成されていること
4.洗えない物は滅菌できない
滅菌器に入れてスタートボタンを押しても、取り出した滅菌物がすべて滅菌されているかどうかはわかりません。
「消毒」も「滅菌」も、行う前の「洗浄」と「乾燥」が重要であり不可欠だとされています。
洗い残した血液由来のタンパク質汚染は、バイオフィルムを形成して内部の細菌が滅菌後も生き残る可能性があります。
高圧蒸気滅菌は、滅菌剤である飽和蒸気が器具の表面に直接接触することで湿熱により滅菌が達成されます。
微量の水や空気の存在でさえも、滅菌を阻害する重要な因子になっています。
タンパク質の汚れが付着していると、飽和蒸気は汚れの下の器具表面に直接接触できません。汚染物質が付着している部分は、滅菌されないのです。
歯科用のハンドピースは、その内部をきちんと洗えないので、理論的には滅菌器に入れても滅菌できないということになります。
それなのに、ただ滅菌器に入れさえすれば滅菌は達成されるのでしょうか。
そう考えると、果たして厚生労働省がいうところの「患者使用ごとに必ず滅菌する」ことに意味があるのか、という疑問が湧いてきます。
どんなに高性能の滅菌器を使ってバリデーションされていても、「洗浄」が不十分だったら「滅菌」は保証されません。
医療機器学会のガイドラインでは、洗浄の質についても基準を定めています。
ところがQMS省令では、滅菌の前に洗浄せよとはいっていますが、洗浄方法や洗浄後の清浄度については具体的に言及しないとなっています。そこは何となくぼかされています。
このジレンマを、どう解消したらいいのか。
- 洗浄方法の改良を待ってはいられないので、まずは「滅菌」することが先決
- 「滅菌」すれば、微生物が死ぬ可能性がある(感染リスクの低減)
- 「滅菌」しなければ、微生物は減らない(感染リスクは変化しない)
保証されない「滅菌」なら、行う必要はないと考えますか?
しかし、それでは感染リスクが少しでも下がる可能性はゼロになります。
それでも洗えないのだから「滅菌」してもムダと考えるのでしょうか。
5.ハンドピースの滅菌が必要だという根拠(エビデンス)
厚生労働省の通達や指針の中に明記されている根拠は2つあります。
- 実際にハンドピース内部の微生物の存在を確認した
- 染色実験でハンドピース内部に汚染水が吸引される事実を確認した
「1」について、これだけでは滅菌を必要とする根拠には足りないとする反論があります。
歯科ユニットの水質が「飲料水」には適合していても「滅菌水」でない限り、ユニットの給水回路内の水に含まれる細菌の可能性を否定できないとするものです。
これを検証するには、次のような検証データが必要でしょう。
- 滅菌水を使用した検証実験
- 口腔内と口腔外のみで使用した場合の比較データ
(誰か、実験してください!)
「2」については、どう考えますか?
ハンドピース内部が汚染されているという「事実」だけでは、「滅菌が必要」という根拠には足りないのでしょうか。
また、歯科関係のブログを見ているとこんな文章をよく見かけます。
「歯科用ハンドピースが原因で感染事故が起きたという報告がない」
だから滅菌は必ずしも必要ではない、という意見です。
これは、日本においてまだ歯科のハンドピースを疑った検証をしていないだけのことではないでしょうか。
諸外国では滅菌が義務づけられており、バリデーションで滅菌が保証されているので、歯科用ハンドピースが感染事故の原因に特定されることはほとんどないと思われます。
実際に歯科用ハンドピースが原因で感染症を発症したとしても、歯科治療以外での感染リスクをすべて否定できない限り、永久に「ハンドピースが原因」という報告は出てこないでしょう。
事例報告がないので滅菌は不要、という理屈にはなりませんね。
感染制御の中の滅菌の位置づけ
感染の成立には、主に3つの要素があります。
- 宿主
- 病原微生物
- 感染経路
「宿主」は、感染症を発症する人です。
日頃から健康を維持し、ワクチン接種などで免疫力を強化し、手荒れなどの皮膚損傷を予防します。診療中の切傷や針刺し事故を防止します。
「病原微生物」は、感染症を引き起こす原因です。
常在菌は普通は無害なので問題にされませんが、患者さんの体調や疾病などの状況によっては易感染性の場合があるので、微生物の種類を問わず「滅菌」することが必要です。「洗浄」「滅菌」「消毒」は、感染源に直接アプローチして感染を防止します。
「感染経路」は、宿主と病原微生物の接触です。
これを遮断すれば、感染は成立しません。個人防護具やラッピングなどです。
これら3つの要素のどれかをなくせば感染は防止できます。
3要素へのアプローチから最小限必要な対策をミックスして組み合わせた対策が標準予防策(スタンダードプリコーション)です。
歯科診療において標準予防策は必須のものであり、その中の感染源にアプローチする感染予防対策のひとつが「滅菌」です。
では、現状で滅菌をどのように行うのか
患者使用ごとに滅菌を行いながら、滅菌器の性能の見直しと、滅菌器の点検・滅菌の手順を作成して実行しましょう。
歯科医院では院長が洗浄・滅菌の現場責任者を任命し、業務とスタッフ教育を行います。
基本的な内容は、次のようになります。
- ハンドピースを使用ごとに滅菌する
- 滅菌工程を通過した事実の確認と記録(CI使用)
- 滅菌したハンドピースの保管(閉じられた空間内に保管する)
- 使用後は「洗浄」し内部まで完全に「乾燥」させる
- 「乾燥」後の「注油」と油切り
- 包装
- 最低年に1回のメーカーによる点検・整備の実施
- 毎日の点検とチャンバー(缶体)内部の清掃
- PCDによる滅菌性能の確認
- 滅菌の作業マニュアルを作り手順を守る(「洗浄」「乾燥」「注油」を含む)
ハンドピースが不足するようなら追加購入が必要です。
滅菌器の耐用年数が経過(メーカーの保証切れ)している場合は、更新の準備をしましょう。
新しく購入する滅菌器の選定については別に説明しますが、少なくとも真空脱気式で外部モニターの計器類が付いていること、温度制御できる乾燥工程があるもの、包装器具および管腔器材の滅菌ができるものを選びましょう。
ハンドピース内部の洗浄についても別の記事で詳しく触れますが、「オイル洗浄」で血液汚染の洗浄はできません。
「注油」と表記するメーカーが増えていますが、いまだに「オイル洗浄」という言葉を使っている場合は注意が必要です。「オイル洗浄」で洗える対象汚染物は、ベアリングの金属粉などの無機物だけです。
タンパク質の汚れ(有機物)は一切取り除けないので、洗浄したつもりになってはいけません。
*PCD:工程試験用具 Process Challenge Device
*CI:ケミカルインジケータ(化学的インジケータ)Chemical Indicator
歯科メーカーの責任
QMS省令では、製造者が実際の取り扱い方法やメンテナンスについてユーザーにわかりやすく説明する義務があるとされています。
ハンドピースの滅菌方法についての添付文書を見てみると、滅菌の前処理である内部の「洗浄」については、どのメーカーも明確な記述がありません。
一部に、ウォッシャーディスインフェクター(WD)での内部洗浄は可能であるとされています。
しかし、WDのない歯科医院で、どのように内部洗浄するのかという説明がどこにもありません。これでは、添付文書として不十分です。
しかも、一般の歯科医院では、WDに対応していない古いハンドピースを使用している所も少なくないでしょう。
「洗えない物は滅菌できない」という世界共通の認識が、歯科のメーカーにはないのでしょうか。
解決策は、この2つしかないように感じます。
- 内部を洗える構造に改良する
- 洗えない部分は完全に閉鎖し汚染させない
これまでに、サックバック防止機能やWD対応のハンドピースが開発されてきました。
更なる改良はもちろんのこと、メーカーの責任において「洗浄」方法を今すぐ明記してほしいと思います。
前述したように、「乾燥工程は使用しないでください」という記述もやめていただきたい。
「滅菌温度を超える高温での」乾燥工程は使用しない、と説明すべきです。
まとめ
結局のところ「滅菌せよ」だけが先行しており、以下の3点については明確な結論が出ていません。
- 使用する高圧蒸気滅菌器の性能(滅菌器の選定)
- 滅菌バリデーション(品質管理)
- ハンドピースの洗浄
これらの歯科における問題をどう解決するかは、歯科医師個人の判断に任されているといってもいいでしょう。
しかし「滅菌しない」という選択肢は存在しません。
どうせ「滅菌」せざるを得ないのなら、有効で確実な方法でやりたい。
そう感じているのは、私だけではないと思います。
*コラム「罪人は、お前だ!」
看護師は、医師の指示に従って業務を行います。保助看法で規定されている業務の一部です。
しかし、医師が間違った指示を出して、その通りに行った結果患者が死亡した場合は、指示ミスをした医師ではなく、医師のミスに気付かずに実施した看護師の私が殺人罪に問われるのです。
(たとえば、薬の量を10倍にしてしまうなど)
「医師の指示に従う」という法律に従うと、実施者の私が悪者にされてしまいます。
看護師という国家資格を持つ専門家なら、医師の指示に間違いがあることに気づくべきだという理由です。
「ミスに気付いて医師に確認する」という是正措置を取らなかった責任を問われるのです。それこそ「知らなかった」では済まされない。
日本の歯科メーカーの添付文書に指示されていることが、国際基準の常識に外れる内容だった場合、その通りに実施して何か問題が起きた時に責任を問われるのは、あなたですよ。