読者の思考パターンから生まれる「誤解」をなくし、読みやすくてわかりやすい文章の書き方を解説します。
洗浄と滅菌や感染制御の高額な参考書をたくさん買っていますが、内容やレイアウトに問題のあるものが多くて、ちょっと困っています。
これから出版を考えていらっしゃる方や、ブログやサイトなどで「情報提供」しようと思われる方は、ぜひ参考にしていただけませんか?
誤解を招く表現・レイアウト
記事のタイトルは、何について書かれている文章かということが一目でわかる重要な見出しです。
ここに間違いがあると読者は不安になり、よく読まずにタイトルだけがイメージに残った場合には、間違いを正しいことだとインプットしてしまう危険性があります。
そこで特に注意することは、タイトルと直下に来る文章の内容を正しい表現にすることです。
不適切なタイトル例【万能な消毒用エタノール】
「万能な消毒用エタノール」というタイトルを見て、どう感じますか?
私は「エタノールは万能だったの?そんなはずないのに」と不思議に思いました。
消毒用エタノールは中水準消毒薬ですが万能ではありません。使用する際は注意が必要です。
このページでは消毒用エタノールの危険性を説明し、最後には次のように書かれています。
「消毒用エタノールは万能な消毒薬であるどころか感染拡大につながりかねないのです!」
本の目次をざっと見ると、重要なポイントの全体が把握できます。
その中に、間違った表現が含まれていると困りますね。
「えっ?」というインパクトを狙ったものかもしれませんが、これは危険な誤解を生むので避けた方がよい表現のひとつです。
「万能ではない消毒用エタノール」
「消毒用エタノールは万能ではなかった!」
「消毒用エタノールの過信は禁物」
「消毒用エタノールで感染拡大!?」
「崩壊!エタノール消毒神話」
webライティングでは、こんなタイトルが思い浮かびます。
あなたは、どんなタイトルにしますか?
タイトル直下の表現
タイトルの直下に書かれている文章を、webでは「ディスクリプション」といいます。
新聞では「リード」です。(「前書き」とは違います)
「結論」を含んだ「要約」です。
読者の求める答えと、筆者が伝えたいポイントが書かれていなければなりません。
この部分に「間違ったこと」が書かれていると、読者はそれが正解だと誤解してしまいます。
Q&Aの「質問」の形で書かれていれば、問いに答えが呼応しているので誤解されないのですが、間違いを言い切る表現は避けましょう。
読者の認識の誤りを是正したい気持ちはわかりますが、正しいタイトルの次に来る文章は、タイトルを説明する正しい内容が必要です。
もしくは、その本全体の文章構成が次のように統一されていれば、問題はぐっと少なくなります。
- 正しいタイトル
- 読者の誤解や間違った認識を指摘
- 間違いの根拠
- 正しい知識
この「2」の部分に、正しい内容が書かれている文章と、間違った内容がかかれている文章が1冊の本の中に混在すると、読者は混乱します。
わかりやすい文章構成:3つのパターン
本を読むときには、最初から順番に読み進める場合と、必要な部分や気になる部分をタイトルから拾い読みする場合とがあります。
- タイトル(見出し)⇒「あ、これだ」興味や関心を持つ
- ディスクリプション(要約・概要)⇒「どれどれ」自分が欲しい情報があると認識して読み進む
- 意見・答え⇒「ふむふむ」筆者の考えを理解する
- 根拠⇒「なるほど」納得する
- まとめ(結論)⇒「わかった!」結論の再確認(記憶を強化する)
これは、webの文章か書籍かにかかわらず、人が本を読む場合の一般的な思考の流れです。
このような思考の流れに沿った構成で書かれた文章は、読みやすくわかりやすいといわれています。
- タイトル
- ディスクリプション
- 問題提起
- 原因
- 対策とその根拠
- まとめ
このような構成でもOKです。
- タイトル
- ディスクリプション
- 読者の疑問や悩みに寄り添う(共感)
- 疑問や悩みの解決方法(答えと根拠)
- まとめ(結論)
webライティングでは「3」の「共感」が重要になります。
読者を引き込むテクニックのひとつです。
読者は「うんうん、そうなんだよね」と親近感を抱き「で、どうしたらいいのかな」と読み進んでくれます。
まとめ
文章を書く時に大事なことは、いかに読者のストレスを減らし、読みやすい工夫をするかということです。
そうすることで、必然的にわかりやすい文章になります。
読者の思考の流れを邪魔する構成や統一のない文章構成は、不安や混乱、誤解を招きます。
写真やイラスト、図表も大事ですが、基本は「文章」の内容と構成です。
読み手を意識しましょう。
自分の伝えたいことが先行してしまうと、読者はドン引きします。
文章を書く目的は「伝える」こと、そして「理解してもらう」ことです。
そこを意識するだけで、かなりわかりやすい文章になりますよ。