中材業務【洗浄と滅菌】安全な再生処理と感染制御

歯科医療も含めて、診療に使用した医療器具を安全に再使用するための再生処理と感染制御についてわかりやすく解説しています。

クルム(不織布):中材での保管について

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 滅菌物の包装に使用しているクルムの保管方法について、お問い合わせがありました。しかし、あらためて調べてみると、ほとんど情報がありません。

そこで、メーカーのホギメディカルさんにホームページから問い合わせると、丁寧なご回答をいただきました。

 

段ボール箱のままでの保管は基本NG

段ボールは運搬用の梱包材です。

屋外での汚れの付着や虫などの問題があるので、段ボール箱のままでの保管は推奨されておりません。

中材の包装エリアへ運ぶ際には、段ボール箱から出してビニール袋の状態で搬入・保管することが推奨されます。

 

作業エリアとは別の保管庫や、SPD業務用の在庫などの場合は、段ボール箱での一次保管で問題ありません。

 

清潔エリアでの保管はビニール袋で

洗浄後の包装エリアでの保管は、ビニール袋に入れた状態で一時保管しましょう。

使用時に毎回ビニール袋から取り出す作業が煩わしい場合には、ビニール袋から出して解放棚(中~上段)などに置いてもかまいません。

ただし、長期保管には適さないので、使い切るサイクルはなるべく短い方がよいでしょう。

 

保管の注意事項が明記されない理由

包装用の不織布は、医療用洗剤などと同じく「雑品」に分類されています。

そのため、医療用具のような規定はありません。

保管に際しては、衛生的な環境が望ましいでしょう。

 〇直射日光や紫外線を避ける

 〇ホコリの少ない場所

 〇床に直置きしない

 〇通路や人通りの多い場所は避ける

 〇水濡れのおそれがない場所に保管

 

ゾーニングできない施設の場合の工夫

中材内部が厳密にゾーニングされていない施設は、どのように対応したらよいでしょう。

収納する保管庫や棚のない施設も多いと思います。

やむを得ず床に直接段ボール箱を置く場合は、水濡れや汚染のない場所を選びましょう。

開封して使用中の箱は、床に置かないことが原則です。

使用中の一時保管棚がない場合は、未開封の段ボール箱の上にプラスチックケースなどを重ねて、その中にクルムを入れて取り出すとよいでしょう。

 

おわりに

当院では、手術用のドレープ、ガウン、包装用不織布、個人防護具のキャップやアイソレーションガウンなどは、ずっとホギメディカルさんの製品を採用しています。

コロナ渦で品薄な時期もありましたが、欠品せず供給していただけたことに、とても感謝しています。

「安かろうそれなり」ではない信頼できる製品を使い続けていてよかったと思っています。

また、この度の問い合わせに際して、迅速丁寧にご回答いただいたことも御礼申し上げます。